「MOTTAINAI」はすごいという話

大学にいた頃、江戸時代の人たちは「もったいない精神」で、あらゆるものを使い尽くしていたという話を講義で聞いた。

例えば着物は全て長方形の布(反物)を糸で手縫いして作られており、子供に長さを調整して着させたり、表面が汚れたら上下や裏表を逆さにしたり、それでも汚れてしまったら糸をほどいて雑巾に、それでもボロボロになってしまったら火にくべて灰にして使う、など。着物ひとつ取ってもここまで使い尽くすことができるのか、それに無駄も出ず理に適った素晴らしい考え方だと感動した記憶がある。

今ではそうした生き方は手間がかかるし「貧乏臭い」と言われることが多い。確かにお金があれば大抵のことは解決するし、手間もかからない。

もちろん江戸時代の人たちの生活が裕福であったかと言えばそうではないのだろうと思うが、その分時間と手間をかけ、多様で豊かな生活であったのだろうと思う。また様々な手間のなかで色々な仕事が生まれ、助け合いや交流などもあったのではないだろうか。

逆に手間があるからこそ生まれる豊かさや合理性もあれば、余裕があるからこそできることも少なくない。

どちらが善でどちらが悪かという考えはないが、もし生活に余裕が生まれることがあったとしても、そこで見落としてしまいがちな細やかな配慮や細工、精神性などは忘れずに日々を生きていきたい。


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